制作の道筋

インディーズ作品で3Dゲーム、つまり音楽もモデルもシステムも全て扱うということは、非常に作業量が多く、作品として十分にまとめあげることができるのかと疑問を持つ方もおられると思います。
そこで夢物語の制作を成立させる道筋について各項目に照らして簡単にお話ししたいと思います。

・明快なシステム
昨今のゲームは非常に複雑になってきています。もちろん続編ものなどであれば、それまでのシステムに新たな要素を加えても、十分にプレイできるかもしれませんが、やはり初心者にとってはとっつきにくいものになるでしょう。本作では誰でも手軽にプレイできる簡潔なシステムが構築されています。その分当然ながらシステム面の作業量は削減できます。
またサブゲームやミニゲームなどは、一つのアクセントとしては魅力的ですが、ゲーム世界に根差したものでなければ、ゲーム内で実装する意義は薄いと考えています。やはりメインのシステムを重視し、時には比重が小さいシステムは明確に切り捨てることも必要です。

・マルチシナリオ
本作ではマルチシナリオを重要なシステムとして位置付けています。マルチシナリオを生かし、シーン・キャラクター・オブジェクトなどを再利用することで全体のボリュームを確保します。
もちろんシナリオを書くのにも時間がかかりますし、まして十分なクォリティーがあるシナリオを作ろうと思えばなおのことです。それでも上記したようなゲームの素材を一から制作するよりは、物理的に間違いなく短い手間で用意することができます。

・デフォルメ
3Dゲームといっても大企業が制作しているような、現実と見紛うような映像を作るわけではありません。キャラクターや世界はデフォルメによってより分かりやすく、同時に効率よく制作されなければなりません
もちろんデフォルメだから手を抜くといったことではありません。デフォルメならではの価値を生かすことが必要です。

・夢の住人
特に労力がかかるのはいわゆる“不気味の谷”の問題を抱える、人間キャラクターに当たります。夢物語には人間キャラクターと夢の住人キャラクターがそれぞれ登場しますが、夢の住人は一からデザインできるため、モデルやアーマチュア、ウェイトなどの労力を削減できることも多いです。
もちろん人間キャラクターにはモーションの流用などの汎用性があることも忘れてはいけません。

・生涯更新
“お約束”のページにも挙げているように、私はこの作品を生涯更新していきます。多くの人員を割くことができる大規模開発に比べ、個人制作である分できる限りの時間をかけるということは最も明快な手段ともいえます。

・パブリックアーキテクチャー
テクスチャやシステムによっては娯楽性や表現性にほとんど関わらない部分もあります。これらを一から作るのには時間がかかるため、積極的にパブリックアーキテクチャーを利用していくべきだと考えています。
有償のものはもちろん、最近ではフリーの素材やソフトウェアも強力なものが揃い、創作の環境は今まで以上に整ってきたように思います。