夢というテーマ その2

夢というテーマについて以前お話ししましたが、そのテーマの利点は他にも多く挙げられます。今回はそれらをまとめてみたいと思います。

ファンタジー作品において冒険の舞台というのは非常に大きな意味合いを持ちます。多くの場合は別世界が用意されるわけですが、宇宙ですら身近になった昨今において、夢世界は誰もが見たことがあり、また同時に未知の世界であるという大きな魅力があります。

夢物語も含め、多くのファンタジー作品では主人公が少年・少女であり、ほとんどの場合において彼らの成長が描かれるわけですが、極論を言えば子供が活躍できる世界というのはいささかリアリティーに欠けるという欠点があります。

夢というテーマではそういった子供たちが活躍できる、精神世界の活用が大きな利点になります。現実の世界では体力でも知力でも劣る子供たちが活躍できるためには、正しい理由付けが必要です。

またゲームというシステム上、キャラクターやオブジェクトを必要に応じて表示したり、消したりすることがあります。現実では物理的で複雑な動作であるわけですが、ゲームでは簡易的に表現されることが多く、作業の効率化が図られています。

考えてみればこれは不自然なことですが、昔は映像自体がそもそもドット絵など、簡易的なデザインであったため、問題にはなりませんでした。しかしフル3Dとなると話は変わります。この場合、多くの作品では魔法という言葉の力を借りるわけですが、夢というテーマであれば、消えては現れる夢の世界という表現として、これらのシステム上の齟齬を解決することができます。

またインディーズ作品ということで、メジャーなタイトルに比べると各シーンに使えるモデルの絶対数はどうしても限られてしまいます。しかし夢ならではの自由な発想で、空白を生かしたり、様々な映像エフェクトを利用したりすることで、十二分に夢世界ならではの面白味を生かすことができます。

夢というテーマはこれまでにもたくさん描かれており、数多くの名作が生まれています。それらの名作はこういった夢世界の魅力を上手く引き出したからこそ、大勢の人に支持されたのではないでしょうか。